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しじみとあさりの違い

しじみとあさりは違いがあるの?

最近は二日酔いや疲労回復に効果があることでしじみが話題に上がることが多いですが、一方で同じくらいの大きさで海に棲むあさりは少し影が薄いようです。
同じ二枚貝で主に淡水に棲むしじみと、海に棲むあさりでは生態や栄養価は違うのでしょうか?
今回はしじみとあさりを色々な面から見比べてみたいと思います。

学術的な違い

しじみとあさりは貝殻の色が違うくらいで見た目の大きな違いが無くとも、名前や棲む場所が違うので生物学的な違いが当然あります。
まずは学術的な面から見比べてみましょう。

呼び名の由来

しじみの名前の由来は貝の表面に細かい皴があることから「縮(ちぢ)み貝」が転訛したものだと言われています。
また太古から一年中簡単に獲れたことから万葉集では「四季味」と表現され、漢字では「四時貝」と当て字されます。
一方あさりの名の由来も手軽に獲れたことから「漁る」が「あさり」に転化したものだと言われています。
また浅い砂浜で獲れるので「浅利」と書く場合があり、これは「浅い」と「砂利」が合わさって出来た当て字です。

生物学上の分類

しじみは二枚貝綱マルスダレガイ目シジミ上科シジミ属に分類されます。
一方あさりはニ枚貝綱マルスダレガイ目マルスダレガイ科アサリ属に分類され、しじみも元をたどればマルスタレガイ目の二枚貝です。
マルスダレガイ目の貝には他にハマグリや、外来種でクラムチャウダーの具になるホンビノスガイが該当します。

生態

しじみは淡水域や汽水域に群棲して生息し、雌雄異体で性転換をし、晩春から秋口が産卵期で寿命は10年以上あります。
一方あさりは汽水域から沖合の砂地に群棲して生息し、雌雄異体で性転換をし、多くの種で春と秋の2回産卵をし、寿命は7~8年程度です。

漁獲量

農林水産省の平成28年度漁業・養殖業生産統計では国内のしじみの漁獲量は年間9583t、あさりは6300tとしじみの方が国内の漁獲量が多いことが分かります。
しじみは市場に出回る種のほとんどがヤマトシジミで、1970は6万tで1978年から減少傾向にあります。
あさりは1980年代には14万tもの漁獲量がありましたが、乱獲や水質汚染、生息地などの埋め立てにより激減しています。
両者とも国内産で需要をまかなえなくなっているので、しじみもあさりも中国、韓国、ロシアからの輸入が増えています。

栄養面の違い

このように見た目や大きさが同じでも、種や棲む場所が違えば当然栄養価も違っていそうです。
ここでは
三大栄養素
ビタミン
ミネラル
旨味成分
の4つの違いを、可食部100gを基準に見比べます。

三大栄養素

三大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質は共に生体のエネルギーに代謝される栄養素です。

しじみとあさりに含まれる三大栄養素の比較表
しじみ あさり 成人男子摂取基準
カロリー

51Kcal

30Kcal

2100kcal

たんぱく質

5.6g

6g

75g

脂質

1g

0.3g

55g

炭水化物

4.3g

0.4g

320g

しじみとあさりでたんぱく質の量は大きな違いはありませんが、あさりの方が脂質・炭水化物共に量が少なく、しじみよりヘルシーな食品と言えます。
ただし、成人男子の一日当たりの摂取基準量からすれば共にごく僅かしかないので、しじみもあさりも良質なたんぱく質が主体のヘルシーな食品であることに違いはありません。

ビタミン

ビタミンは三大栄養素以外に生体の維持に必要な有機化合物です。
ビタミンは脂質に溶けやすい脂溶性ビタミンと、水に溶けやすい水溶性ビタミンに分けられ、それぞれ異なった役割を果たします。

脂溶性ビタミン

しじみとあさりに含まれる脂溶性ビタミンの比較表
しじみ あさり 成人男子摂取基準
ビタミンA

4.3μg

4μg

450μg

ビタミンE

1.6mg

0.4μg

8mg

脂溶性ビタミンは主に活性酸素から細胞等の酸化を守る抗酸化作用があります。
ニンジンなどで知られるビタミンAはしじみもあさりも含有量に大きな違いはなく、共に成人男子が一日に必要な摂取量の1%に満たないので特に論じる必要もないでしょう。

一方で体内の脂肪の酸化を防ぐビタミンEはしじみの方が圧倒的に多く、しかもしじみの場合1日に必要な摂取量の20%に相当します。
抗酸化物質の摂取を考えるなら、しじみ方が栄養価が高いと言えます。

水溶性ビタミン

水溶性ビタミンはビタミンB群とビタミンCです。
ビタミンB群は代謝や神経伝達物質の補酵素として、ビタミンCは抗酸化作用やミネラルの吸収などに深く関わっています。

しじみとあさりに含まれる水溶性ビタミンの比較表
しじみ あさり 成人男子摂取基準
ビタミンC

1mg

1mg

80mg

ビタミンB1

0.03mg

0.02mg

1mg

ビタミンB2

0.25mg

0.16mg

1.1mg

ナイアシン

1mg

1.4mg

11mg

ビタミンB6

0.09mg

0.04mg

1mg

ビタミンB12

624μg

52.4μg

2μg

葉酸

17μg

11μg

200μg

ビタミンCはほとんど含有されない

ビタミンCは植物が紫外線を浴びることで発生する活性酸素から自らの身を守るために生産する抗酸化物質なので緑黄色野菜や柑橘類に多く、しじみやあさりなどの魚介類をはじめとした動物にはほとんど含有されません。

ビタミンB群は比較的量が多い

ビタミンB群は細かく分けると様々な種類に分類されますが、共通するのは炭水化物をエネルギーに変える作用があることです。
ここで上げたビタミンB群はしじみとあさりで比較的量が多い成分です。

ビタミンB12は大量に含有している

注目したいのがしじみとあさりのビタミンB12の数値で、共に成人男子の摂取基準に比べて大量に含有しています。
ビタミンB12は不足すると貧血や神経障害、慢性疲労や記憶障害を引き起こしますが、過剰摂取しても必要以上は吸収されないので、しじみ・あさりとも効率よくビタミンB12を摂取できます。

その他のビタミン

またビタミンB2とビタミンB6はしじみの方が多く、ナイアシンはあさりの方が多く、共に他の食品に比べ豊富に含有しています。

一方でビタミンB1や葉酸成人男子の摂取基準から比べれば両者とも大した量ではありません。

ミネラル

ミネラルは生態を維持するために必要な無機元素で、これらを必須ミネラルと言います。
ミネラルは体内では合成できないため、食物を通じて体内に摂取しなければなりません。

しじみとあさりに含まれるミネラルの比較表

しじみとあさりに比較的多く含有されているミネラルを表でまとめました。

しじみ あさり 成人男子摂取基準
ナトリウム

73mg

870mg

3500mg

カリウム

66mg

140mg

1800mg

カルシウム

130mg

66mg

700mg

マグネシウム

12mg

100mg

250mg

5.3mg

3.8mg

7.5mg

亜鉛

2.1mg

1mg

7mg

0.42mg

0.06mg

0.6mg

マンガン

1.5mg

0.1mg

3.5mg

しじみとあさりでは生活環境が違うため、ミネラルの含有量がそれぞれ大きく異なります。
海水は塩分があるため、あさりにはその塩分を構成するナトリウム、カリウム、マグネシウムを非常に多く含有しています。
一方でしじみは淡水から汽水域に生息しているため地中のミネラルであるカルシウムや鉄、亜鉛や銅、マンガンなどを多く含有しています。

不足しがちなミネラル補給にしじみ

ミネラルは不足すると生体に様々な面で不調を起こしますが、同様に多く取り過ぎても体に不具合が生じるので、食生活では自分の不足しがちなミネラルを選ぶ必要があります。
日本人はカルシウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルが不足しやすいので、これらのミネラルが多いしじみの方が普段の食事に適していると言えます。

旨味成分

旨味とは舌で感じる甘味、酸味、塩味、苦味と共に基本五味の一つであり、舌で味を感じる味蕾のうちグルタミン酸受容体で感じる味覚で、その主成分はアミノ酸です。
いわゆる出汁の旨味成分がアミノ酸なのです。

しじみとあさりの生と水煮に含まれる旨味成分の比較表
しじみ(生) しじみ(水煮) あさり(生) あさり(水煮)
グルタミン酸

680mg

1800㎎

810mg

2700mg

アスパラギン酸

500mg

1400mg

560mg

1900mg

しじみとあさりの旨味成分となるのがグルタミン酸とアスパラギン酸です。
グルタミン酸もアスパラギン酸も旨味成分として舌を楽しませてくれるばかりではなく、共に体内で毒素となるアンモニアを除去する作用があり、疲労回復効果を発揮します。

しじみもあさりも生より水煮の方が3倍近く旨味成分が増えます。
これは貝類のたんぱく質の大部分がコラーゲン豊富な筋繊維なので、煮ることでコラーゲン分解し、アミノ酸が発生するからです。

あさりやしじみを生で食べる機会はほとんどありませんが、出汁として料理に使う際にはあさりの方に軍配が上がります。

まとめ

しじみもあさりも二枚貝綱マルスダレガイ目の貝類ですが、生息地が淡水か、海水かの違いがあります。
この生息地の違いが栄養分の違いに顕著に現れ、特にミネラルやビタミンEで大きな差がありますが、ミネラルやビタミンEは必ずしも多く取れば良いという栄養素ではありません。

しじみもあさりもどちらも栄養と旨味が豊富な食材です。
自分の体調や食生活を鑑みて、どちらの食材が相応しいかこの記事を毎日の献立作りの参考にしてください。

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