しじみと相性の悪い食べ合わせは?(しじみんと食べ合わに気を付けたい食べ物は?)
しじみと相性の悪い食べ合わせはあるのか?
しじみは二日酔いや疲労回復に効果のあるオルニチンや、「神経のビタミン」と呼ばれるビタミンB12をはじめとしたビタミンB群、鉄や亜鉛、カルシウムなどの私たちの体に必要不可欠な必須ミネラルが豊富な食品です。
古くは「ウナギに梅干しは食べ合わせが悪い」という迷信もありますが、実は栄養素の中には食べ合わせによって互いの効果を打ち消しあったり、体に悪い影響を及ぼしたりするものも存在します。
今回は、しじみの栄養素の効果を阻害してしまう食べ合わせについてお話します。
迷信の食べ合わせ
古今東西、ある食べ物とある食べ物を食べると効果があったり、逆に悪い影響を及ぼしたりする食べ合わせが存在します。
日本では古くから、「ウナギに梅干し」、「天ぷらとかき氷」、「蟹に柿」などが食べ合わせが悪いと信じられています。
しかし、最近の研究ではほとんど根拠がないことが明らかとなっています。
また、医食同源をモットーとする漢方では、食べ物を「温」「冷」に分け、体調に合わせて食材を組み合わせたり、違う属性の食材の組み合わせを避けたりします。
これらの組み合わせも経験則によるところが大きく、科学的な根拠はありません。
化学的な根拠に基づく悪い食べ合わせ
しかし、科学の発展した現在では、食品に含まれる成分によって、その栄養が体内に吸収されることを阻害したり、体内で化学反応を起こし人体に悪い影響をもたらしたりする成分が明らかになっています。
もちろん、しじみが含有する人体に有益な栄養素も、別の食品に含まれる栄養素によって体内への吸収量が減ったり、人体に逆に悪い影響を与えるようになってしまったりする組み合わせが存在します。
豆類のフィチン酸は必須ミネラルの吸収を阻害
フィチン酸は豆類、穀物類の糠(ぬか)の部分に多く含まれる栄養素です。
フィチン酸はイノシトールとリンが結合して生まれるビタミンB様物質で、体内に発生する活性酸素※1を除去する強い抗酸化作用のある物質です。
また、フィチン酸は血液を凝固させる血小板の働きを抑制するため、血液をサラサラにし、動脈硬化の抑制に効果を発揮します。
※1活性酸素:細胞内のミトコンドリアが酸素を取り込んでエネルギーを生産する際に発生する電子の少ない酸素類の総称。
電子が少ないので物質として不安定で、すぐに周囲の物質と結合して酸化させることで物質として安定しようとする。
そのため、普通の酸素より化学反応が早い。
フィチン酸は必須ミネラルのカルシウム、鉄、亜鉛、銅などのミネラルと結合しやすい性質を持っています。
フィチン酸の豊富な食品と一緒にしじみを摂取すると、しじみに豊富な鉄や亜鉛、カルシウムが小腸にたどり着く前にフィチン酸と結合してしまいます。
フィチン酸と結合した必須ミネラルは分子構造が大きくなり、腸壁の微細な穴を通過できなくなります。
その結果、体内に吸収されず、そのまま糞便として排出されてしまいます。
ハムやソーセージのポリリン酸はカルシウムの吸収を阻害
ハムやソーセージなどの加工肉はたんぱく質やビタミンB1が豊富で、保存食として、また料理のレパートリーを広げてくれる食材です。
しかし、市販の加工肉には保水性や粘着性を増すために、ポリリン酸という食品添加物が使われています。
成分表には一般的にリン酸や、リン酸ナトリウムという形で表記されます。
ポリリン酸そのものは、私たちの生物の細胞内に普通に存在している物質です。
ミトコンドリアでエネルギーになるATP(アデノシン三リン酸)の構成物質もポリリン酸なので、本来は体に必要不可欠な成分です。
ポリリン酸を多く含んだ食品を摂取すると、しじみが多く含有するカルシウムの吸収を阻害します。
リンとカルシウムは、化学的にとても結合しやすい組み合わせです。
ポリリン酸を多く含む食品とカルシウムを一緒に摂ると、共に胃酸でイオン化されリン・イオンとカルシウム・イオンに分解されます。
しかし、小腸にたどり着く前に、リン・イオンとカルシウム・イオンが結合しリン酸カルシウムになります。
リン酸カルシウムは分子が腸壁よりも大きいため、体内に吸収されず糞便と共に排出されます。
ほうれん草のシュウ酸はカルシウムや鉄の吸収を阻害
シュウ酸は、ほうれん草、ナス、ナッツ類、カカオ、コーヒーなどに多い成分です。
シュウ酸もまた、カルシウムや鉄と結合しやすい性質を持っています。
シュウ酸の多い食品と一緒にしじみを摂取すると、しじみのカルシウムや鉄がシュウ酸と結合して分子が大きくなり、腸壁を通過できずに体外に排出されます。
一方、シュウ酸は水に溶けやすい性質を持っています。
ほうれん草を茹でた時に出るアクが、実はシュウ酸です。
アク抜きすれば、シュウ酸の多い食品としじみを一緒に摂ることができます。
お茶のタンニンは亜鉛や鉄の吸収を阻害
タンニンはお茶やコーヒーに含まれる苦味の成分です。
タンニンは鉄や亜鉛と反応しやすく、水に溶けない不溶性の物質に変えてしまいます。
必須ミネラルはイオン化して水に溶けている状態でなければ、腸壁を通過できず、体内に吸収されません。
食物繊維は必須ミネラルやビタミンEを絡めて体外に排出
植物に多い食物繊維は、消化吸収ができないため栄養素ではありません。
しかし、腸内細菌の餌になったり、腸壁を刺激して腸の蠕動(ぜんどう)運動を促進し便通を促したりするなど、人体に有用な成分です。
また、余分な脂肪を絡めとるのでダイエットにも有効です。
しかし、食物繊維の多い食品としじみを摂ると、鉄、カルシウム、亜鉛などしじみの必須ミネラルや、ビタミンEなど脂溶性の栄養素を食物繊維に絡み取られてしまいます。
食物繊維に絡み取られた栄養素は体に吸収されず、糞便と共に体外に排出されます。
まとめ
しじみは鉄や亜鉛、カルシウムなど人体に必要不可欠な必須ミネラルが豊富な食品です。
必須ミネラルは胃酸でイオン化され、水に溶けることで小腸の腸壁を通過できるようになります。
しかし、イオン化されたミネラルは化学反応を起こしやすい状態です。
ミネラルと結合しやすい成分は
- 穀物の糠に多いフィチン酸
- 加工肉の添加物として使用されるポリリン酸
- アクの成分のシュウ酸
- お茶の苦味成分のタンニン
が挙げられます。
これらを含有した食品を一緒に摂取すると、小腸にたどり着く前に相性の良いミネラルと結合してしまい、分子が大きくなり腸壁を通過でなくなります。
また、消化できない食物繊維はミネラルを絡め捕ってしまうため、糞便と一緒に排泄されてしまいます。
もちろん、しじみと相性が悪い成分は、それぞれ体にとって有益な成分もあります。
しじみの必須ミネラルをしっかり摂って体の健康に役立てるには、食べ合わせの悪い食品と一緒に食べるのを避けるのが賢明です。