しじみとパスタの相性は?(しじみを使ったパスタのレシピ)
しじみのみそ汁に飽きたらパスタに
栄養豊富で疲労回復効果が高いしじみを、毎日みそ汁で摂っている方も多いと思います。
しかし、毎日同じ料理ばかりでは人間飽きてしまうもの。
そこでお薦めが、しじみのパスタです。
海や山の幸を上手に活かしたイタリア料理は、私たち日本人の口に合い、日本で最も愛されている西洋料理と言っても過言ではありません。
イタリア料理には魚介類を活かした料理も多く、同じ魚介類のしじみとの相性もばっちりです。
ところで、イタリア料理と言えば誰もが思い浮かべるのが、主食のパスタ。
パスタは小麦でできているので、どうしても食べると太るというイメージがあります。
果たして、パスタは栄養的にはどのような効果があるのでしょうか?
また、しじみとパスタは相性が良いのでしょうか?
今回は、しじみとパスタの相性について、栄養面で詳しくお話します。
パスタの栄養素
一般的なパスタは小麦粉が原料で、繋ぎに卵が使用されている食品です。
パスタは主に小麦粉を原料とし、水、塩、卵を混ぜて作る麺類です。
イタリア料理の主食で、スパゲティなどのロングパスタと、マカロニやペンネといったショートパスタなど、650種類以上もあると言われています。
乾麺にすると長期保存ができ、癖が無く、色々な具材やソースと合うため、世界各国で愛されている食品です。
普段私たちが何気なく食べているパスタですが、パスタにはどのような栄養があるのでしょうか?
どのような栄養が含まれているのか、(1)三大栄養素、(2)必須ミネラル、(3)ビタミンの順に詳しく見てみましょう。
小麦粉の主成分は炭水化物なのでカロリーや糖質が気になるところです。
パスタにはエネルギーとなる三大栄養素の糖質、脂質、たんぱく質がどれだけ含まれているのでしょうか?
私たち日本人の主食である白米と見比べてみましょう。
下記の表は、乾燥状態のパスタと白米の100gあたり(どちらも1食分)の含有量を比較したものです。
パスタ | 白米 | |
---|---|---|
カロリー | 378Kal |
356Kal |
糖質 | 72.2g |
77.1g |
脂質 | 2.2g |
0.9g |
たんぱく質 | 13g |
6.1g |
カロリーや脂質は白米よりパスタの方が若干高めで、糖質はパスタの方が若干低めです。
注目したいのは、私たちの体を作るたんぱく質の量です。
パスタは白米に比べ2倍以上のたんぱく質を含有しています。
1食あたりで吸収できるたんぱく質の量は、およそ20g程度なので、パスタだけで65%のたんぱく質を摂取できます。
パスタと言うと太るというイメージが先行しますが、それはパスタのソースなどに糖質や脂質が多いためです。
パスタだけなら、白米よりも体作りに有効で、とてもヘルシーな食品と言えます。
私たちの体は三大栄養素以外にも、骨の形成に必要なカルシウムや、赤血球のヘモグロビンを作る鉄などの必須ミネラルが必要です。
パスタにはどのような必須ミネラルが有るのか、同じく白米と比べてみましょう。
下記の表も、乾燥状態のパスタと白米の100gあたりの含有量を比較したものです。
必須ミネラル | パスタ | 白米 |
---|---|---|
ナトリウム | 2mg |
1mg |
カリウム | 200mg |
4.9mg |
カルシウム | 18mg |
5mg |
マグネシウム | 55mg |
23mg |
リン | 130mg |
94mg |
鉄 | 1.4mg |
0.8mg |
亜鉛 | 1.5mg |
1.4mg |
銅 | 0.28mg |
0.22mg |
マンガン | - |
0.8m |
セレン | 62μg |
8.7μg |
クロム | 1μg |
- |
モリブデン | 53μg |
69μg |
パスタは白米に比べ、血圧を下げる効果のあるカリウムや、骨の成分となり血圧の正常化に必要なマグネシウムがとても豊富です。
また、体内で発生した過酸化脂質を分解するセレンの含有量が特出して高いのが特徴です。
パスタ100gで一日に必要なセレンの摂取量の2.7倍も摂ることができます。
パスタは小麦粉が原料ですが、植物性の食品に多いビタミンAやビタミンC、ビタミンEは無いか、あってもほんの微量です。
しかし、ビタミンB群は種類も量も比較的豊富です。
乾燥パスタ100gあたりのビタミンB群の含有量と、成人男子の1日あたりに必要な摂取量の比較は、以下の表の通りです。
含有量 | 必要摂取量 | 割合 | |
---|---|---|---|
ビタミンB1 | 0.19mg |
1.2mg |
15.8% |
ビタミンB2 | 0.06mg |
1.3mg |
4.6% |
ナイアシン | 2.3mg |
13mg |
17.7% |
パントテン酸 | 0.65mg |
5mg |
13% |
ビタミンB6 | 0.11mg |
1.2mg |
9.2% |
ビチオン | 4μg |
50μg |
8% |
葉酸 | 13μg |
200μg |
6.5% |
ビタミンB12 | - |
2μg |
- |
パスタはビタミンB12を除き、ビタミンB群を満遍なく摂取できます。
特に、糖質をエネルギーに代謝するビタミンB1や、糖質や脂質をエネルギーに代謝するナイアシン(別名ビタミンB3)が豊富です。
パスタはエネルギー源として主食で食べられるものなので、エネルギー効率が非常に良い食品と言えます。
ただし、ビタミンB群は熱に強い反面、水に溶けやすい性質があります。
パスタを茹でると、ビタミンB群はゆで汁の中に流失してしまいます。
実は、パスタは茹でずに、蒸して戻すことができます。
スパゲティならば乾麺100gに対し、フライパンで水400mgを沸騰させ、スパゲティを半分に折って投入し、蓋を半蒸し状態にします。
あとは、説明書にある調理時間蒸せば完成です。
いったん溶け出したビタミンB群も、再び麺に吸い上げられるので、ビタミンB群の流失を最小限に食い止めることができます。
しじみのボンゴレのレシピ
パスタを使った貝料理と言えば、まずボンゴレを思い浮かべることでしょう。
日本でボンゴレと言うと主にアサリが使われますが、イタリア語でボンゴレは二枚貝全般を指すので、アサリと同じ仲間のしじみでも代用できます。
レシピとしては非常に簡単です。
用意するもの(1人前)
パスタ80g
しじみ200g
ニンニク 1片
唐辛子 1本
オリーブオイル 大さじ4杯
白ワン 大さじ1杯
パセリ 適量
- フライパンにオリーブオイルを敷き、ニンニクと唐辛子を入れ、弱火で香りづけをします。
- ニンニクと唐辛子は取り出し、そこに砂抜きしたしじみと白ワインを入れ、蓋をして中火で蒸します。
- しじみが開いたら、しじみだけを取り出し、残った出汁とオリーブ・オイルをフライパンを揺らしながら乳化※1させ、ソースを作ります。
※1 乳化とは、本来混ざらない水と油を、攪拌して混ぜて一つの液体にすること。 - ソースの乳化が完了したら、しじみと茹でたパスタをフライパンに戻しソースと絡め、最後にパセリで味を整えれば完成です。
しじみのボンゴレの栄養効果
しじみは疲労回復に効果のあるオルニチンやビタミンB群、また鉄や亜鉛をはじめとした必須ミネラルが豊富な食品です。
パスタと一緒にボンゴレにすると、どのような健康効果が見込めるのでしょうか?
パスタは炭水化物、ソースのオリーブオイルは脂質で、共に体内でエネルギーとして使用される栄養素です。
パスタには炭水化物の糖質を効率よくエネルギーに代謝するビタミンB1が、しじみにはオリーブオイルの脂質をエネルギーに代謝するビタミンB2が豊富です。
また、しじみやパスタに多いビタミンB群のうち、ナイアシンやビタミンB6は、糖質や脂質のエネルギー代謝に関わる栄養素です。
ビタミンB群は水溶性ビタミンですが、食材から染み出たビタミンB群はソースに溶け込んでいるので、余すことなく摂取することができます。
におい付けで使われるニンニクの香りはアリシンと呼ばれる成分で、食欲増進ばかりではなく、体内でビタミンB1を活性化しエネルギー代謝を高める効果があります。
このように、ボンゴレは糖質や脂質をエネルギーに代謝するビタミンB群が豊富なので、疲労回復効果がとても高い料理です。
しじみのボンゴレは動脈硬化対策になる
しじみのボンゴレは動脈硬化を防ぐ栄養素が豊富です。
動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは肝臓で生産されます。
肝機能の衰えや、現代型の高カロリーの食生活では、肝臓で脂質をエネルギーに代謝しきれず、脂肪となって肝臓に蓄積されます。
肝臓で脂肪が増えると、LDLコレステロールの生産が過剰になり、それが血管内に付着し、体内で発生した活性酸素※2により過酸化脂質に変質します。
血管内に付着した過酸化脂質は、周囲の血管内皮細胞に炎症を起こし、炎症部が繊維化した血管が硬化します。
また過酸化脂質によって血管が損傷すると、これを治すために血液中の血漿が凝固するため血栓となり、動脈硬化が発生します。
※1 活性酸素はミトコンドリアが酸素を取り込んでエネルギーを生産する際に発生します。
この時取り込んだ酸素の0.1~2%が活性酸素になります。
しじみは肝機能低下の原因である有毒なアンモニアを、無毒な尿素に代謝する際に必要不可欠なオルニチンを多く含みます。
オルニチンの摂取で肝機能が活性化すると、脂質の代謝が促進され、肝臓に脂肪が蓄積されなくなるので、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールの分泌も低下します。
また、しじみは活性酸素を抑制してLDLコレステロールの酸化を予防する、抗酸化物質のビタミンEが豊富です。
一方パスタには、血管に付着した過酸化脂質を分解する、必須ミネラルのセレンが豊富です。
さらに、ソースのオリーブ・オイルは、全体の70~80%がオレイン酸です。
オレイン酸は不飽和脂肪酸のω9脂肪酸に属します。
ω9脂肪酸は、血液中の善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールを正常に保ち、悪玉コレステロールのLDLコレステロールを減少させる効果があります。
このようにしじみのボンゴレは、コレステロールや動脈硬化が心配な人にとって、栄養補給に理想的な料理です。
まとめ
イタリア料理のパスタはたんぱく質が豊富な主食で、他にもビタミンB群や、セレン、カリウム、マグネシウムと言った必須ミネラルが豊富な食品です。
しじみはパスタとの相性が良く、調理が簡単なボンゴレにすると、しじみやパスタに多いビタミンB群が糖質や脂質のエネルギー代謝を高め、疲労回復に効果を発揮します。
また、動脈硬化対策にも有効で、しじみのオルニチンが肝機能を高め、動脈硬化の原因となるLDLコレステロールの生産を抑制し、抗酸化物質のビタミンEがLDLコレステロールの酸化を防ぎます。
一方、パスタに多い必須ミネラルのセレンは抗酸化物質で、血栓の原因となる過酸化脂質を分解するので血流が良くなり、結果として動脈硬化を予防できます。
健康に毎日のしじみのみそ汁もいいですが、たまにはしじみのパスタで趣向を変えてみても、高い健康効果を発揮します。