しじみに含まれるビタミンB2
ビタミンB2も豊富なしじみ
しじみはビタミンB群が豊富な食材で、特にビタミンB12は群を抜いて多く、巷でしじみのビタミンB群の説明はこのB12について語るものが多いです。
しかし、しじみはビタミンB12以外にB2も豊富に含有し、意外とこちらは他のビタミンB群と一緒くたに語られ、注目を浴びません。
実際にビタミンB12とB2ではその役割が大きく異なります。
今回はしじみのビタミンB2についてお話しします。
ビタミンB2とは
ビタミンB2の正式名称はリボフラビンです。
水溶性のビタミンで熱や酸には強いのですが、光やアルカリに触れると分解します。
細菌やカビ、植物など下等生物ではリボフラビンを体内で合成できますが、人間などの動物では体内で合成することができません。
そのため食物でビタミンB2を摂取する必要があります。
ビタミンB2の役割
ビタミンB2は体内に取り込まれると以下の役割を担います。
「皮膚・粘膜のビタミン」と呼ばれるほど、ビタミンB2は皮膚と粘膜を正常に機能させるために必要不可欠なビタミンです。
ビタミンB2が不足すると、皮膚や粘膜に炎症を起こしやすくなり、口角炎や口内炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、眼精疲労や白内障を引き起こします。
また皮膚と関係が深い甲状腺が異常をきたすと、肝臓に貯蔵されているビタミンB2も減少し、結果として皮膚病が誘発されます。
糖質・脂質・たんぱく質は三大栄養素であり、私たちの生命エネルギー源となる栄養素です。
しかし、これらの栄養素を摂取しただけではエネルギーにはなりません。
栄養素をエネルギーにするには代謝が必要で、何度も代謝を繰り返し、最終的にATP(アデノシン3リン酸)を生成する必要があります。
このATPこそ生体のエネルギー源です。
栄養素は解糖→クエン酸回路を経て、電子伝達組織であるミトコンドリアまで運ばれ、最終的にここでATPを生成しますが、この時水素が必要となります。
ビタミンB2は体内に吸収されるとたんぱく質と結合し、FMN (フラビンモノヌクレオチド)・FAD (フラビンアデニンジヌクレオチド)が合成されます。
このFANとFMFが水素をミトコンドリアまで運ぶ役割を担い、ビタミンB2が無いとFMNもFADも生産されないのでエネルギー代謝の効率が落ちます。
ビタミンB2が不足すると疲労が溜まりやすくなり、またエネルギー効率の低下により脂肪も蓄積します。
特に激しい運動をした後はビタミンB2が大量消費されるので、疲労回復のためにビタミンB2を補う必要があります。
また成長期は多くのエネルギー代謝が必要なため、この時期にビタミンB2が不足すると成長が阻害されます。
そのためビタミンB2は成長期の子供や妊婦には必要不可欠な栄養素です。
過酸化脂質は呼吸やミトコンドリアのエネルギー代謝で発生した活性酸素により体内の脂肪が酸化することで生じます。
これが蓄積すると動脈硬化や心筋梗塞の原因となり、さらに超酸化物質を発生して周囲のDNAを傷つけます。
ビタミンB2は過酸化脂質を分解する抗酸化物質グルタチオンを補助するグルタチオン還元酵素をサポートする働きを担います。
しじみのビタミンB2
しじみのビタミンB2の含有量は可食部100gあたり0.25mgです。
一方成人男子一人が一日に必要なビタミンB2は厚生労働省の目安では1.1mgですから、しじみが含有するビタミンB2は比較的多いと言えます。
しじみはビタミンB2を体内で合成できる水中の菌類などを直接捕食するので、小さいながらもビタミンB2の含有量が多いのです。
ビタミンB2はレバー、うなぎ、卵など高たんぱく高脂肪な食材に多く含有します。
これららの食材ではコレステロールが気になります。
一方ビタミンB2は菌類や植物の体内で生産されるので納豆、乳製品、葉菜類などにも多く含まれています。
意外なところでは緑茶も多く含有し、ビタミンB2は水溶性ビタミンなので効率よく摂取できます。
コレステロールが気になる方はこれらの食材を効率よく組み合わせ、ビタミンB2が不足しないように意識してください。
ビタミンB2は小腸で吸収されると肝臓や腎臓などにいったん貯蔵されます。
人体で必要なビタミンB2の量は1.1mgで、これを超えて摂取すると全て尿と共に排出されるため、過剰摂取が起こることはありません。
ビタミンB2は通常の料理では変化をあまり起こさない水溶性ビタミンなので、出汁など水分も一緒に摂る料理であれば効率良く摂取できます。
まとめ
ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持や生体エネルギーの代謝に必要不可欠な栄養素です。
ビタミンB2は不足すると口内炎や皮膚病などを引き起こし、また過酸化脂質も分解できなくなるので動脈硬化や心筋梗塞のリスクも高まります。
ビタミンB2の含有量が多く、しかもコレステロールが少ないしじみをみそ汁などに用い、納豆や野菜類で足りない分を補うことで、体に優しい和食でも十分ビタミンB2を摂取することができます。