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しじみは加熱すべきか?(しじみの加熱調理の必要性)

しじみは生で食べていいの?

日本ではしじみはみそ汁や、佃煮、しぐれ煮など加熱して食べる場合がほとんど。
しかし、貝類の中には刺身などで生食するものもあります。
また、台湾料理には生のしじみを醤油とお酒、ニンニクで味付けした「しじみの醤油漬け」があり、おつまみとして頻繁に食べられています。

はたして、淡水や汽水域で採れるしじみを生で食べても良いのでしょうか?
今回は、しじみの加熱処理の必要性の有無についてお話します。

しじみの育つ環境

しじみは淡水、および淡水と海水が混ざる汽水域の砂地や砂泥の中に、身を潜めて生息しています。
しじみは砂泥から水管を出し、周囲の水を取り込み、吸い込んだ水の中にいるプランクトンを漉し摂ることで食料を捕獲します。

自然環境で育つしじみは、常にウィルスや細菌、寄生虫に侵される危険性にさらされています。
しじみで特に怖いのが、ニュースでも話題になるノロウィルスです。

ノロウィルスとは

ウィルスはたんぱく質の殻と、遺伝子情報が入った「核酸」からなる微生物です。
自らエネルギーを生産して自己増殖を行う「細胞」が無いため、生命とは別の存在として扱われる場合があります。
生体の細胞に侵入すると活性化し、はじめて自己増殖が可能となります。
寄生した細胞内で増殖すると、その細胞を破壊して脱出し、新たな宿主を探します。

ノロウィルスは人の体内に侵入すると、感染性胃腸炎を引き起こします。
ノロウィルスは自然界ではノロウィルスに汚染された水や、動物の糞などを体内に取り込む魚介類の消化器官中に蓄積します。
そして驚くことに、ノロウィルスは貝類の体内で直接増殖することはないので、貝類自体はノロウィルスには感染しません。
しかし、貝類の消化器官には濾過摂取したノロウィルスが蓄積していき、これを私たちが食べると食中毒の原因となります。

貝類とノロウィルス

厚生労働省の調査では、平成28年度に、しじみをはじめとした二枚貝によるノロウィルスの食中毒の発生件数は30件です。
これは、ノロウィルスによる食中毒の全発生件数の8.5%に上る数字です。
貝類がノロウィルスに感染しているかどうかは、肉眼で確認することはできません。
貝類を下ごしらえしている時に、汚染された水が飛び散ったり、誤って口の中に入ったりすると、ノロウィルスに感染します。
ノロウィルスは乾燥した状態でも4℃なら8週間、20℃でも4週間は感染力を失わないほど、強い生命力があります。
また、ノロウィルスは酸やアルカリにも耐性があるため、胃酸で死ぬこともありません。

ノロウィルスに感染すると

ノロウィルスは、人では経口感染か空気感染で体内に侵入します。
胃を通り抜けたノロウィルスは、十二指腸から小腸の細胞に感染します。
感染すると、24~48時間の潜伏期間を経て増殖し、細胞を破壊して消化器官内で拡散します。
これにより、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を起こし、これが1~2日続きます。
糞便や吐瀉物と一緒に体外に出たノロウィルスは、新たな宿主を探すこととなります。
ノロウィルスは僅か10から100程度が体内に侵入しただけで症状を引き起こすほど、強い感染力があります。

現在、ノロウィルスに対抗する有効な薬はありません。
免疫力が低い幼児や、免疫力が低下した老人などが感染すると、症状が長引く可能性があり、体力を消耗するなどして死亡する例もあります。
平成28年度のノロウィルスによる食中毒の事件数は354件、患者数は11,397人に上ります。

しじみと寄生虫

しじみは貝類の中でも寄生虫の少ない部類に入りますが、棘口吸虫(きょくこうきゅうちゅう)類という寄生虫の第一宿主になる場合があります。
棘口吸虫類は脊柱動物の体内で成虫となります。
第一宿主が脊椎動物に食べられることで体内に侵入して成虫となり、卵を産み、下痢や腹痛を引き起こすことで体内から脱出します。

ウィルスも寄生虫も加熱で死ぬ

ウィルスも寄生虫も、全てたんぱく質でできています。
たんぱく質は熱で変性するので、加熱調理するとウィルスや寄生虫を殺せます。
ノロウィルスの場合、85℃以上で1分以上加熱すると感染力を失います。

しじみなどの淡水や汽水域の貝類は、下水などに混じったウィルスによる汚染の確率が海洋性の貝類より高いので、食中毒の回避には加熱調理をした方が無難と言えます。

生のしじみはビタミンB1の吸収を阻害

しじみはビタミンB群が豊富ですが、なぜかビタミンB1はほんの僅かしか含有していません。

実は生のしじみは、ビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素を持っています。
ビタミンB1は、糖質をエネルギーに代謝する補酵素として必要不可欠な栄養素です。
体内でビタミンB1が不足すると、糖をエネルギーとする脳や神経細胞の働きが阻害され、疲労が蓄積しやすくなります。

チアミナーゼは加熱で不活性になるので、生のしじみは加熱した方が良いのです。

しじみの栄養素と加熱調理

しじみは、肝臓を活性化し疲労回復効果のあるオルニチン、ビタミンB12をはじめとした体の健康を維持するビタミンB群、血液を作る鉄や、体内で様々な役割を果たす亜鉛などの必須ミネラルが豊富です。
これらの栄養素は、加熱で効果を失うことは殆どありません。

まとめ

淡水や汽水域に生息する天然のしじみは、ノロウィルスや寄生虫などに感染している可能性がごく僅かにあり、これらの生物が原因で食中毒になる可能性があります。
しかし、これらの生物はたんぱく質でできているので、85℃以上で1分以上加熱するとたんぱく質が変性して死ぬため、加熱調理すれば食中毒の心配はありません。

また、生のしじみはビタミンB1を分解する酵素のチアミナーゼを持っていますが、これも加熱で不活性になります。
一方、しじみのオルニチンやビタミンB12などの有用な栄養素は、加熱によって栄養価が損なうことはありません。

食中毒や栄養面を考えれば、しじみは加熱調理した方が良いと言えます。

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