しじみで白髪予防
しじみで白髪が予防できる
年を取ると黒髪の中にポツポツと目立ち始める白髪。
白髪が生える年齢は個人差があり、10代で白髪が生えている人もいれば、還暦でも黒髪をたたえている人もいます。
男性だと白髪は貫禄が増すという見方がないわけではないですが、女性だと白髪は即年配者に見られるので、できれば増えて欲しくないものです。
見た目の若々しさを保ちたければ、やはり黒髪を保っていたいもの。
しじみは白髪を予防する栄養素を豊富に含有し、しじみを毎日の食卓で習慣づけることにより若々しい黒髪をキープすることができます。
今回は白髪の仕組みを理解していただいたうえで、しじみの栄養素と白髪予防についてお話します。
黒髪の役割
白髪を理解するには、黒髪がどのような役割があり、どのように生まれるかを理解する必要があります。
髪の毛が黒いのは、そもそも紫外線から頭頂部を守るためです。
少量の紫外線は皮膚を殺菌したり、骨の形成に必要なビタミンDを作ったりするのに有用ですが、強すぎる紫外線は表皮を貫通しその下の組織に炎症を起こさせるばかりか、活性酸素を作り出し細胞内にある脂質を酸化して老化を早めます。
紫外線は濃い色に吸収される性質を持ち、頭頂部の毛髪を黒くすることで紫外線の害から頭部の細胞を守ります。
紫外線から皮膚の下にある組織を保護するため、私たちの表皮には肌の色を褐色に変え紫外線を吸収する色素のメラニンを作るメラノサイト(色素細胞)が存在します。
メラノサイトは表皮に1?当たり1000~2000も存在し、紫外線を浴びると活性化しメラニンを作り出します。
そして毛髪の色も、実はこのメラニンで着色されます。
メラニンには黒色系の「ユーメラニン」と、橙赤系の「フェオメラニン」の2種類が存在し、この2種類の組み合わせで髪の毛や皮膚の体毛の色が決まります。
通常皮膚の色はフェオメラニンが優勢で、紫外線を浴びるとユーメラニンが増え褐色の肌になります。
一方毛髪の場合、同じ日本人の黒髪でも、真っ黒の人もいれば、やや茶色系の人もいるのは個体によってユーメラニンとフェオメラニンの分量が違うためです。
日本人と欧米人の毛髪の色が異なるのは、日本人をはじめとした東アジアの人はユーメラニンが優勢で、欧米人の金髪や栗毛はフェオメラニンが優勢だからです。
余談ですがフェオメラニンの方がユーメラニンに比べ科学的に安定しています。
髪を染めている方なら経験上わかるかと思いますが、染めた色が落ち始めると髪の毛が赤っぽくなるのは、ユーメラニンは着色時に脱色できてもフェオメラニンは脱色しきれず毛の中に色素として残っているためです。
毛髪はどこから生えているか?と問われれば、皆さんは毛穴からと答えるでしょう。
それは間違いではありませんが、毛とメラノサイトの基となる幹細胞は毛穴ではなくバルジ領域と呼ばれる毛穴より少し上の組織で生産されます。
幹細胞が成長すると毛穴にある毛球部へ移動し、毛母細胞とメラノサイトに分化します。
毛母細胞は下の方に伸びてゆき、毛乳頭と結びついて毛細血管から養分を吸い細胞分裂を繰り返して毛を伸ばしてゆきます。
一方分化したメラノサイトはその毛にメラニンを供給して毛を着色し、最終的に毛穴から色の付いた毛となって生えてきます。
白髪が生まれる理由
髪の毛がメラノサイトから供給されるメラニンで着色されることは理解できたかと思いますが、なぜメラニンで着色された髪が白くなるのでしょうか?
理由は主に2つあります。
メラノサイトの幹細胞は造血幹細胞ニッチと呼ばれる非常に狭い領域にあり、この領域以外では活力を失い死んでしまいます。
ストレスや加齢などが原因でメラノサイトの幹細胞が造血細胞ニッチから移動してしまうと消滅し、髪にメラニンが供給できず白髪になります。
バルジ領域からメラノサイトの幹細胞が消失すると再び毛の幹細胞が毛母細胞に分化したとしてもその後生えてくる髪は全て白髪となり、再びメラニンで染まった毛が生えてくることはありません。
また個体差はありますが、メラノサイトの幹細胞は細胞の分化を一定数繰り返すとそれ以降は分化できなくなり、やはりバルジ領域からメラノサイトが供給できなくなります。
メラノサイト自体の機能が低下するとメラニンが生産できず白髪となります。
メラノサイトはメラニンの生産に特化して分化した器官なので、一度機能が低下すると回復することはほとんどありません。
白髪は一度生えてしまうと、周囲のメラノサイトの幹細胞が消失あるいは劣化しているため再び黒髪が生えてくることはほとんどありません。
白髪予防には、メラノサイトの幹細胞を維持し、分化したメラノサイトに活力を与える必要があります。
しじみの栄養素と白髪予防
しじみには白髪予防の栄養素が多く含まれています。
有効な成分は以下の通りです。
メラニン色素の成分として
フェルアラニン
チロシン
銅
メラノサイトに活力を与える成分として
ビタミンB2
ビタミンE
亜鉛
メラニン合成に必要な要素
非必須アミノ酸のチロシンが、チロシナーゼという酵素によって最終的にメラニンに合成されます。
チロシンは必須アミノ酸のフェニルアラニンを代謝して体内で合成されます。
チロシンはメラニンの材料以外に神経伝達物質やその調整を行う甲状腺ホルモンの材料にもなり、不足すると白髪になるばかりか、代謝機能が低下し、うつ病などの精神疾患を引き起こします。
フェルアラニンもチロシンも普段しっかりした食事を摂っていれば不足はしませんが、白髪が気になる方は積極的に摂取したい成分です。
しじみには可食部100g当たりフェルアラニンを230mg、チロシンを180mg含有しています。
銅はチロシンがメラニンに代謝される際に必要不可欠な酵素チロシナーゼを構成する必須ミネラルです。
チロシナーゼが十分に供給されないとチロシンがいくらあってもメラニンは生成されません。
一方で過剰な銅は人体に有害で、余分な銅の排泄の仕組みは体にできており、85%は糞便で、5%程度が尿を通して排出されます。
銅は1日に0.8mgほど必要ですが本人の普段の食事で十分摂取可能なミネラルで、しじみは可食部100g当たりその半分の量に相当する0.42g含有しています。
メラノサイトに活力を与える要素
メラノサイトに活力を与えるには、メラノサイトの幹細胞があるバルジ領域に代謝に必要な十分な養分を供給する必要があります。
そのためには毛細血管の血流を良くし、細胞の新陳代謝を促す必要があります。
ビタミンB2は糖質、脂質、たんぱく質の三大栄養素の代謝で補酵素となるビタミンで、特に脂肪の代謝に大きな役割を果たします。
毛細血管の血流が悪くなるのは、体内に蓄積された脂肪により悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが血液の中に増えドロドロ血液になるのが原因です。
脂肪を代謝で燃焼させ減少させればドロドロ血液が解消され、毛細血管を通じ毛髪のメラノサイトやその幹細胞があるバルジ領域まで養分を届けることができます。
またビタミンB2は皮膚や粘膜などの新陳代謝にも必要な成分です。
メラノサイトの幹細胞があるバルジ領域は皮膚組織の一部なので、ビタミンB2の摂取はとても有効です。
しじみはビタミンB2を可食部100g当たり0.25mg含有し、成人が1日に必要な摂取基準の20%に相当するほど豊富です。
ビタミンEは抗酸化作用のある脂溶性ビタミンで、脂肪を酸化から守り体に有害な過酸化脂質への変性を防ぐ効果があります。
ドロドロ血液の原因であるLDLコレステロールが増えると動脈に血栓を作り、そこに溜まった脂肪が酸化して過酸化脂質に変性すると動脈硬化を発症、毛細血管まで血が流れなくなります。
過酸化脂質になった脂肪は分解が困難になるので、ビタミンEで脂質の酸化を防ぎ、同時にサラサラ血液を実現、毛細血管を通じメラノサイトへ養分を提供します。
またビタミンE自体は酸化しやすい物質で、体内に発生した有害な活性酸素と素早く結びつきその害から細胞を保護します。
ビタミンEでメラノサイトの生存領域である造血幹細胞ニッチを活性酸素から守ることで老化を防ぎ、加齢やストレスによるメラニサイトの幹細胞の移動を防ぎます。
亜鉛は各種酵素やホルモン、神経伝達物質の生産や分泌、細胞分裂や新陳代謝に密接な関わりを持つ必須ミネラルです。
亜鉛は皮膚を健康に保つ役割も担い、また抗酸化酵素と結びつき活性酸素を除去する効果もあります。
亜鉛が不足すると皮膚の細胞分裂が遅れるので肌荒れの原因となり、皮膚組織の一部であるバルジ領域にストレスがかかりメラノサイトやその幹細胞にも影響が出ます。
亜鉛は日本人の食事で常に不足しがちなミネラルです。
しじみは亜鉛を可食部100g当たり1日に必要な摂取基準の30%も含有しているので、しっかり確保することができます。
まとめ
白髪は毛髪の色素であるメラニンの供給が止まってしまうために起こる現象です。
メラニンの供給が止まる原因として、その供給元であるメラノサイトの不活性化や養分不足、あるいはメラノサイトそのものを作る幹細胞の消失が挙げられます。
メラノサイトやその幹細胞を維持するためには、しじみが含有するアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、必須ミネラルの銅や亜鉛が有効で、ビタミンB6やビタミンEで血流を良くすることでメラノサイトの活性化を維持することができます。
白髪は加齢が原因とあきらめずに、毎日のしじみを習慣づけることで白髪予防の有効な手段となります。